ロゴマークとロゴタイプ
まず、ロゴマークって何?っていうことをおさらい。
ロゴマークと一般的に言われているものは、マークとタイポグラフィーの部分に分かれます。
その上で、私なりに分類したのが、こちらの3種。
①文字ロゴマーク
②モチーフロゴマーク
③雰囲気ロゴマーク
①文字ロゴマークとは
ユニクロや無印良品、サントリーの様に、社名や商品名の文字をデザインし、ロゴマークとしたもの。
これって、パソコンに入ってるフォントをそのまま打っただけ、もしくはそのフォントをちょこっと変えただけじゃないの??と思ってますか?
全然違います。
もちろん、既存フォントを利用しているロゴマークもありますが、こちらにあげた3社はねりにねってこのデザインになっています。
そして、この文字ロゴマークのデザインってめちゃくちゃ難しいんです…
なんせ、フォントって、めちゃくちゃ種類がありますしね。それらとは違って、その会社らしさをフォントのデザインだけで表現するって、かなりの経験がないと手探りすぎて上手くいきません…
文字ロゴマークでも、少しモチーフを加えたりなんかすると、ぐっとストーリーやオリジナリティーが出しやすくなります。
例えば、アマゾンのロゴマーク。
このロゴマークも秀逸ですね〜!
amazonの下に描かれた矢印はaからzを差しています。つまりaからzまで、なんでもあるという意味なんですね。さらにこの矢印が笑顔の口元のような形になっています。
もう、誰が思いついたんですか!すごすぎる〜〜
ちなみに、私も文字ロゴマークを作ってます。
こちらは、ポーリッシュポタリーを販売するお店「POLKA」さんのロゴマーク。
ポーリッシュポタリーとは「ポーランド製の陶器」と言う意味。東欧らしい配色と、ポーリッシュポタリーによくある丸いモチーフをPの文字にあしらっています。
②モチーフロゴマークとは
会社を象徴するもの、または商品そのものの形をデザイン化したもの。
例えば、資生堂の椿や、スターバックスのセイレーン。アップルコンピューターのリンゴなど。
これは、どんなものをデザインするかというのが明確にあるので、文字ロゴマークよりかは楽にデザインできます。が、どんな「もの」を象徴とするか…というのを考えるのが一苦労。
その象徴するものを何にするかにかなりの時間と労力がかかります。それを導くのがコンサルタントの仕事ですね。
私がデザインさせていただいた、「HALotus」さんのロゴマークです。
蓮の花をつかったアクセサリーを制作販売されているので、モチーフは蓮の花ということですんなり決まりましたが、その蓮の花をどうデザインするかは、デザイナーの腕の見せ所。
HALotusは、蓮の花を摘んで、特殊な技術でアクセサリーに加工しています。そのフレッシュさをイメージできるよう、しなやかな曲線で花、蕾、葉をデザインしました。そして、水面に浮かんでいるようなフォルムにしています。
③雰囲気ロゴマークとは
モチーフに形がないもの、優しいとか力強いとか。そういうイメージ的なものを形にしたロゴマークを私は雰囲気ロゴマークって呼んでいますw
例えば、ナイキのあのシュッとしたマーク。もともとは、ギリシャの翼のはえた勝利の女神ニケの翼をモチーフにしているそうですが、その後、
”ビューンと音をさせる”という意味の「スウッシュ (Swoosh) 」という名前が付けられました。
ビューンっていう感じのデザインってことですね。
他にも民主党のロゴマーク。「民の力」の結合の象徴だそうです。2つの円が民の力を表現しているんですね。
私がロゴマークの制作をする時は、まずは上記3つのどのタイプがいいか考えます。
社名(商品名)を押し出したいなら、①の文字ロゴマーク。何を取り扱っているのかというのを印象づけたいなら②のモチーフロゴマークがいいですねって感じでお客様におすすめします。
例えば、雑貨店のロゴマークなら。
扱う商品がさまざまなので、「コレ」というモチーフが出て来にくいと思います。一方、お店なので店名をお客様に覚えてもらうのは必須。
と、いうことは、文字ロゴマークがいいんじゃないかと思います。
その文字をデザインする際に、雑貨店の扱う商品の傾向(ナチュラス系だとか、POP系だとか)に合わせてオリジナリティを出していきます。
扱う商品が決まっている場合などは、②モチーフロゴがおすすめです。
例えば、フラワーショップのように、扱うものが「花」と決まっている場合。花のモチーフにする方が、お客様にも一目でわかってもらえます。
モチーフロゴマークや雰囲気ロゴマークの場合、社名(商品名)を文字でつけることが多いです。
この場合、がっつりデザインしてしまうと、マークの方を殺してしまう(目立たなく)してしまうことが懸念されるので、シンプルな文字にすることが多いです。
既成フォントを使用することもよくありますが、その際は、フォントの種類の選択に注意してください。
1.商用利用可能なフォントか?
2.イメージにあったフォントか?
ということです。
商用利用に関しては、モリサワやアドビのサブスクリプションのフォントでしたら全て商用可能となっています。(実際に使用する場合は、ご自身でご確認の上、お使いください)また、既存フォントに少し手を加えてデザイン要素をプラスするというやり方もあります。
イメージにあったフォントか?という問題ですが、日本語の場合は、感覚的にお分かりかと思うのですが、アルファベットの場合、ちょっと注意が必要です。
英字フォント選びは慎重に
例えば、イタリアンレストラン「Bono」というロゴマークを作る場合。
Garamond(ガラモン)は16世紀にフランスのClaude Garamond(クロード・ガラモン)が制作した活字を元にした書体。Baskerville(バスカヴィル)は1750年代にイギリスのJohn Baskerville(ジョン・バスカヴィル)によって制作された書体。Bodoni(ボドニ)は19世紀初期にイタリアのGiambattista Bodoni(ジャンバティスタ・ボドニ)によって制作された活字を元に作られた書体。
というように、フォントにも作られた国っぽさがあるのです。
イタリアンレストランなので、フォントはBodoniを使うと、よりイタリアっぽさがでるかもしれません。
でも、それだと、全てのイタリアンレストランのロゴマークがBodoniになってしまうので、それはケースバイケースで。
ただ、こういうフォントの由来は、クライアントさんを説得するのに、とても有効です。
「うーん、どうしようかなぁ」「もっと色々、パターンを出して欲しいなぁ」という、優柔不断なイタリアンレストランのオーナーさんには、
「Bodoniはイタリアで作られた書体なので、これにしましょう!」
というと、結構あっさり決まったりするもんですw