ロゴマークの用途を明確にする
ロゴマークの用途には「使用期間の長さ」で大きく分けて3つあるかなと思います。そして、それぞれでデザインの方向性も変わってきます。
①会社、店舗、事業のロゴマーク
②商品、サービスのロゴマーク
③イベント、キャンペーンのロゴマーク
例えば、①会社のロゴマークの場合。会社が存在する間、ずーっと使用されるものです。なので、あまり流行に流されず、会社の理念をシンプルに表現するのがいいかなと思います。それとは逆に、③のイベントのロゴマークは、目立ってナンボですよね。試用期間も短いですし、思いっきり今っぽいおしゃれなロゴにしたいですよね。
さらに詳しく説明します。
①会社、店舗、事業のロゴマーク
起業した時、新しく事業を始めた時など、その目印としてロゴマークを作ることはよくあると思います。
そして、その会社を象徴するロゴマークは、会社が続く限り使い続けるものです。
なので、かなり覚悟を持って作らなくてはいけません!ですので、制作費用も、最も高くなりがちです。
製作費用の目安:5万円〜
5万円でも安いかなと個人的には思いますが、副業デザイナーならこれくらいから始めてみましょう。
ココナラやランサーズでも、5万円が平均的かなぁと思います。
慣れてきたら、もう少し価格を上げてもいいと思います。
価格を高く設定して、できるだけクライアントが納得するだけデザイン案をだすとか、修正に応えてあげるとかにした方がいいです。また、会社の規模によっても費用をあげてもいいと思います。
従業員30名以上の会社は10万円とか。
従業員が多いほど、名刺等々に使われる頻度も高くなりますしね。もちろん、何百人の会社なら30万円とかにしても全然大丈夫です!
一説によると、ソフトバンクのロゴデザイン費は2億円とも言われています。まあ、それだけ使われているんで、全然納得の価格かな。
コーポレートアイデンティティとは(読み飛ばしてOK!)
会社のロゴマークのことを、CIと言ったりします。
コーポレートアイデンティティー(Corporate Identity)の頭文字をとったものです。
アイデンティティーは自己同一性と訳されたりしますが、その人がその人であること、その人らしさ、みたいな意味でしょう。
それが会社であれば、その会社らしさ、を形にしたものがロゴマークということになります。
なので、企業のロゴマークは、会社の理念や事業内容を示していることが多いです。
例えば、NTTのロゴマーク。
1985年に誕生したものですが、
これは「ダイナミックループ」と名前がつけられています。
「力強く描かれた曲線は無限運動を表すループであり、一本の曲線は企業のダイナミズムを表わしており、マーク上部の小さなループにより、常にユーザー・社会の声を、企業活動の原点として吸収し、広く社会に役立っていこうとする同社の企業姿勢をリズミカルに表現している。」
と、説明されています。
が、たぶんですけど、これ、電話線をモチーフにしてるんじゃないかと思います。
1985年頃の電話って知ってますか?受話器がくるくるとしたコードで本体と繋がっています。あれだと思うんですよね。
あれをモチーフに、円形にすることによって終わりのない「無限」さを表現しているのではないでしょうか?
ロゴマークを作る時は色も重要です。というか、色がかなり重要です。
NTTの水色は、フレッシュな明るい空色で、当時、電電公社から新しくなったNTTにふさわしい色だったんじゃないでしょうか。かつ、青系の色は、信頼感やスマートなイメージをもたらすので、電話だけではない、その後のインターネット、IT時代への期待感も持たせてくれます。
NTTというタイポグラフィーは、がっちりとしたゴシック体にセリフ(鱗)をつけたデザインです。
ゴシック体のNTTという文字はがっちりとしていて、倒れない、頼れる安心感のような大きな企業をイメージさせますね。
それに、明朝体にあるセリフをつけることによって、長い歴史のようなものを感じさせます。
もし、今デザインされるなら、このセリフはつけないんじゃないかなぁ…なんて思ったりします。
長い歴史より、もっと未来感を出したいんじゃないかな(笑)
色の印象で、こんなに違います。
例えば、ユニクロと無印良品
同じように、赤っぽい色の正方形の中に白い文字が4つ入っています。
めちゃくちゃ似てると思うのは、私だけでしょうか?
同じような赤い色ですが、でも印象は全然違うって思いません?
ユニクロは鮮やかな赤です。フレッシュで、若々しくて、軽やかで、賑やか。ちょっと都会的じゃないですか?
無印良品は濃いめの赤です。ナチュラルなアースカラーとも言えます。落ち着きがあって、少し重厚感があり、熟したりんごや古い辞書の表紙のような色…大人っぽさを感じます。
この色のイメージがそのまま店舗のイメージに当てはまりませんか?
色が違うだけで、こんなに印象も違います。
さらに、ユニクロというカタカナと、無印良品という漢字の佇まいも、色の印象でより際立つように思います。
正直な所、この2つのロゴマークを描くというのはとっても簡単かもしれません。
イラストレーターで四角を描いて、文字を打って並べただけ…で、割とそれっぽく仕上がります。
ただし、このシンプルな構成で、どれだけ他社と区別させるか。どれだけその会社らしさを出すか…というのは、とてつもなく難しいです。
以前、テレビ番組でみたのですが、ユニクロのロゴをデザインした佐藤可士和さんは、「ユニクロ」という文字を何百個とスケッチされていました。
そして、会社のロゴマークというのは、一度決めるとなかなか変更することができません。
その会社の看板、WEBサイト、パンフレット、名刺などなど、沢山のものに利用されます。
だからこそ、長く使えるシンプルなものが多いのかもしれません。
②商品、サービスのロゴマーク
商品、サービスのロゴマークは、会社のロゴマークほどではありませんが、こちらも商品がありつづける期間、使用されるものです。
資生堂の商品ロゴです。
カルビーの商品ロゴマーク
商品ロゴマークの場合は、パッケージデザインと合わせて考えられることが多いのではないでしょうか?
また、商品名をわかりやすく、印象に残すために、マークよりも文字(商品名)をデザインするパターンが主流です。
製作費用の目安:3万円〜
商品があり続ける間使われるという意味では、会社のロゴマークと同じなのですが、商品の場合、売れなければ販売終了になりますし、パッケージデザインを一新するということも珍しくないので、少し安めになる場合が多いです。
ただし、会社のロゴマークと同じで、かなり販売数が見込めるような商品なら、もっと高めにしてもいいと思います。そして、ついでにパッケージデザインも受注できるようならいいですよね!
③イベント、キャンペーンのロゴマーク
イベントやキャンペーンのロゴは、使用期間が短いものがほとんどです。
そのため、その時の流行りにのった「今」っぽいデザインが多いように思います。
今っぽいデザインはとてもおしゃれなのですが、長く使うものであれば、どんどん時代遅れ感がでてきます。イベント等でも、毎年行う予定のものであれば、シンプルで飽きのこないデザインにした方がいいかもしれません。
製作費用の目安:3万円〜
イベントやキャンペーンのロゴは、期間限定ということもあり、少し費用も安くなりがちです。
が、チラシやポスター、幟など、制作物をまとめて受注できる可能性もあるので、そちらで仕事をもらえるようプッシュしましょう!
副業デザイナーにとって、もっともやりやすいロゴデザイン
ロゴデザインは、WEBサイトやパンフレットをデザインするよりも、テクニックはなくても大丈夫です。adobeのイラストレーターさえ使えればオッケー!なので、副業デザイナーにはやりやすい仕事かと思います。
ロゴマークの目的をしっかり認識し、クライアントの気持ちになって仕事が進められれば、ロゴマークのデザインから他の仕事に派生する可能性はとても高いです。
まずは、ロゴデザインから始めてみてはいかがでしょう?
さらに、具体的に制作を進めていきたいというかたは、「ロゴマーク制作のためのヒアリングシート、書き込み例」をご覧ください!